みつあみ vol.03

臼田あさ美写真集『みつあみ』特別企画 連続チェキインタビュー 第3回:奥山由之

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LIFESTYLE

奥山由之、川島小鳥藤田一浩。それぞれ違ったフィールドの第一線で活躍する写真家3人が女優・臼田あさ美さんを撮影したことで写真好きの話題をさらった『臼田あさ美写真集 みつあみ』(双葉社)と、チェキがコラボレーション!

3人の写真家が「チェキWIDE」で臼田さんを撮影し、それを素敵な企画にしていきます。詳細はまたここでもお知らせしますが、これからしばらくの間、写真家のみなさんと臼田さんの4人が『みつあみ』のこと、そして「チェキWIDE」のことについて語るシリーズインタビューをお楽しみください。

第3回は、奥山由之さん。独特の“イメージ”を追求する奥山さんの写真は、特定のフォームがないにもかかわらず強烈な印象を残します。多くのアーティストやミュージシャンを惹きつける理由もそこにありそうですが、実は昔からのチェキユーザーでもあるそう。本インタビューで語ってくれた「チェキで撮る」理由にも、その写真観が色濃く現れていました。

INTERVIEW:奥山由之

チェキに求めるのは「ピント」と「色」

みつあみ vol.03

――写真集『みつあみ』、いまさらですが完成してみてどうでしたか?

少し時間をおいて何度も見れば見るほど、3人の写真家の違いが際立ってくる、興味深い内容になったと思います。被写体である臼田さんとの関係性の違いというのも勿論なのですが、それ以前に、3人の被写体への向き合い方やその角度、ひいては「写真」というものの捉え方の違いなどがすごく明確に表れていて。完成直後はそこまで気付かなかったのですが、少し間をおいてから眺めていると、また新しい発見がありますね。

――そういう、それぞれのスタンスの違いは、3人に撮ってもらった「チェキWIDE」の仕上がりを見てもわかりますね。同じ大きさのインスタントフィルムの中で、これだけ距離感や空間の使い方が違う。

そうですね……。確かに。

――奥山さんの撮影は普通のカメラのときもあるし、チェキや「写ルンです」のときもありますよね。撮影のテーマによって機材を変えるということだと思いますが、特にチェキを選ぶときはどういう意識で選んでいますか?

チェキを選ぶときは、その独特の「ピント」がほしいですね。管理したり、入稿したりする際にはそれをスキャンしてデータの状態にするのですが、拡大して出力してみると、よりそのフォーカスの特徴が鮮明になるんです。数年前、広告のお仕事をチェキで撮影させてもらったのですが、最終的にそれが10メートル幅のポスターになっているのを見て「何が写ってるのかわからないけど、いいな」と思ったんです。チェキ独特のフォーカスや、チェキにしかない淡い色合いが効いていて。それ以降、そういう効果を求めるときはチェキを手にするようになりました。

――チェキの「現物感」を求めて使うというよりは、その効果を優先しての使い方というわけですね。

そうですね。チェキの特徴の一つは、そのピントと色味によって、スキャンしたデータや、それを印刷したものを見ても「ああ、これはチェキっぽいな」とわかることです。黒い部分の締まりが弱く、ある意味かわいらしい浅さがある。普通のネガフィルムでは、そうはならないんです。

「自分らしい写真」に本来ツールは関係ない

みつあみ vol.03

――奥山さんはフィルムで撮った写真をスキャンしてデータ化するという方法をとっていますよね。最近はInstagramしかり、デジタル写真にフィルターをかけてアナログっぽい雰囲気を出すということも容易になっていますが、それと奥山さんの方法との大きな違いはなんだと思いますか?

フィルムで撮る理由の一つに、「間がおかれる」ことがあります。撮って、現像して……というプロセスを踏む間に、その写真を撮ったときの自分の温度感や感情がいったん切断されて、客観的になれる。そして、どうしても”ネガ”という現物で残ってしまうので、失敗も成功も残る。すると、見る時によってその写真の見え方が大きく変わったりするんです。撮ったときは”失敗”だと思っていたものが、現像してみると意外と”成功”に見えるときもあったりして。それが、写真の一番面白いところだと思っています。ただ質感だけを求めるなら、それは技術の進歩によって可能になると思いますが、その長いスパンの“時間軸”はやはりフィルム独特のものなんです。 つまり、チェキはアナログカメラに分類されますが、僕の中ではデジタルカメラに近いものなんです。撮ってすぐに見られるという点で、意識としてはiPhoneとかと同じ感覚で使うものだと思っています。

――なるほど。「質感」ではなく「時間」の感覚によってカメラを選ぶというのはおもしろいですね。

撮影から現像まで、といった長い時間軸もそうですが、シャッターを押せるスピードという短い時間軸もカメラにはあって、僕も被写体も動き続けて、次から次へとシャッターを切りたい撮影になりそうなら「そのスピード感と軽快さで撮れる『写ルンです』が、瞬発性に優れていていいな」と思ってそれを選んだりしているわけで、質感のありなしというのは、勿論気にはしますが、どういう状況で撮りたいのか、がカメラ選びにとって肝だと思います。

――そういう考えで写真を撮っていると、なんとなく懐古的に「フィルムはいいよね」というようなムードへの違和感や、奥山さん自身が「フィルムで撮る若手代表」のように言われがちなことへの違和感を抱くことも多かったりするのではないかと思うんですが。

……ひとつ言えるのは、写真にとって最も大事なのは、どういう質感や色味を目指してシャッターを押すか、ではなくて、対象との関係性をどう築くのか、という”空間作り”なんです。被写体との関係の中でリズムや距離感を掴んでいくという点では、ダンスがうまい人やボクサーも、実は個性のある写真を撮れるのではないかと思ったりしています。声や服装や話し方、性別とか、すべてを総合して人間として相手が発している「波」とか「味」みたいなものに、自分はどう手を合わせるか。相手の状態をよく見て、その「波」を感じとる。それが出来るかどうかというのは、ツールの話ではないですよね。どんなカメラを使っていようと、その意識が鋭い人は、自分らしい写真が撮れると思う。デジタルだろうとiPhoneだろうと関係ないし、「フィルムの質感があれば万事解決」というようなものではないんです。

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今回使用したチェキ

“チェキWIDE”instax WIDE 300

wide

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