チェキ

Hiromichi Ochiai

FACETASM デザイナー
2007年、自身のブランドFACETASMを設立。
第3回LVMHプライズのファイナリストに日本人で初めてノミネートされるなど、国内外からの評価が高まっている。東京、ミラノでのランウェイを経て、2017SSには、パリコレでの初のランウェイを開催予定。

—これまでチェキを使われたことはありますか?チェキをご使用されるシーンも聞かせてください。

「僕らの世代はチェキのような写真にも慣れ親しんでいる感覚もあったのですが、実際にチェキに触れたのは、パーティーや結婚式などくらいしかありませんでした。ただ、ずっと興味はあったので、今回使ってみてとても楽しかったです。瞬間、瞬間を撮ることは今ではどんなカメラでもできますが、チェキは色合いや味が違うので、思い出にプラスアルファが出せますよね、逆に気持ちいいというか。写真の上から書けるのも良いし、縦の構図もとても新鮮でした。FACETASMのお店でもアナログのレコードをかけていますし、今はカセットテープもリバイバルしていますよね。そういう感覚とも近いと思います。メールやソーシャルなどのツールは全部早いような状況の中で、今の僕らはすごいスピードで動いていると思うんです。そこにワンクッションあるというのは決して無駄ではなく、今の空気感だからこその、リアルな価値になるという事だと思います」

—チェキ instax miniは東京ブランドとのコラボレーションは今回がはじめてとなりましたが、ボックスセットについてどの様なことを意識されてつくられましたか?

「FACETASMを知らない方も多いと思い、ブランドの過去3シーズンの要素から、それぞれ気に入ったものを落とし込んでいます。まず、『LOVE』というテーマのコレクションからは、オリジナルのテキスタイルをカメラポーチに施しています。ストラップは、ネイティヴアメリカンの羽根のようなものを付けたら良いなと思って制作しました。そして、BOXとフィルムのパッケージには、フォトグラファーの森健人君が撮ってくれたバックステージの写真をプリントしています。全体として、存在感のあるセットに仕上がったと思います」

—デジタルが普及・一般化する現代で、改めてアナログなカメラ、チェキの良さや特性は何だと思いますか?

「僕は子供がいるので子供を撮っても良いし、見に行ったライブなんかも撮ってみたいですね。来週からパリへ向かうので、パリでもチェキで撮ってみたいと思います。これまでデジカメで写真を撮るときは、あくまで記録用という感じであまり写真を撮る事を意識していなかったと思うんです。ショーの時のフィッティングもデジカメで撮っていたのですが、記憶としても残したいので、チェキで撮っても良いなと思いました。スタッフ全員に渡せば、良いものがあがってくるかなと(笑)。僕らは大切なモノを作っているので、クリエイティブな環境もやっぱり雑にはしたくないですから」

Yoshikazu Yamagata

セントラルセントマーチンズ美術学校を卒業後、ジョン・ガリアーノのデザインアシスタントを務める。
日本へ帰国後、2007年に自身のブランド「writtenafterwards」を設立。「written by」はリアルクローズライン。

—チェキをご使用されるシーンを聞かせてください。

「フィッティングなど、瞬間的に撮れてプリントアウトも必要な時に使っていました。ショーの前に全体を俯瞰して見る時は特に便利ですね。それに、チェキは味があるので、仕上がりが絵になるというのも大きいです。これは、ジョン・ガリアーノの仕事をまとめたコンセプトブックなのですが、こういう感じで、リサーチブックのようにクリエイティブのイメージをクリップしていく際にも、チェキのような写真だと、俄然ファッションになります。僕は学生のときに『ガリアーノのリサーチブックはすごくビューティフルなんだ』みたいな感じで勧められたのですが、今の学生もそういった感じでチェキを使っているようです。リサーチブックを作るというのは、最終的にポートフォリオとなる本を作ることなんです。そうする事で、instagramのようなネットとは異なる、リアルなコンポジションを考えた本作りの経験値が上がってくるんですよ。そういうモノ作りにおいて、チェキは相性が良いと思います」

—チェキ instax は東京ブランドとのコラボレーションは今回がはじめてとなりましたが、ボックスセットについてどの様なことを意識されてつくられましたか?

「今回『written by』というレーベルでやったのですが、『written by』のbyの後ろには、“誰かが描く”という余白があるんです。だから、このセットを使う人がチェキで撮影をするときも、余白である無地のキャンバスにどう描くか?という感覚をこのセットに込めています。トルボットという著者による世界で初めての写真集のタイトルが『自然の鉛筆』なのですが、もともと写真は、真実を写す前に『光で描く画』で『光画』と書いていましたよね。昔の人は写真を光で絵を描くというふうに捉えていたという事なのですが、そのように、チェキを使って光でどうスケッチをするか?という意味で、このセットのボックスの紙も画用紙のような紙を使っているんです。今回、グラフィックは花に絞って描写してますが、その対比として、今度はチェキで花を撮って紹介しようと思っています」

—デジタルが普及・一般化する現代で、改めてアナログなカメラ、チェキの良さや特性は何だと思いますか?

「多分、今の世の中はただの情報としてだけのビジュアルが膨大すぎて、逆にリアルなモノに行くというのがあると思うんです。そのような状況の中で、オブジェクトとしての写真というのがチェキの特性で、だからクリエーションに適しているということだと思うんです。もともとのフィルムも良いですし、良い写真があって、そこに字や絵も描ける。今回のセットもそういうような、スケッチやデコレーションをするような感覚で使って頂けたらと思います」

Atsuhiko Mori

1972年生まれ。兵庫県出身。2005年に「WACKO MARIA」設立。
音楽を常に根底に置き、上質でロマンティックな、色気を感しさせるスタイルを提案している。また幅広いジャンルのレコードコレクターでもあり、SKA、 ROCK STEADY、ROCK’N’ROLL、BLUES、ROCK‘A’BILLY、FUNK等のSOUL REBEL MUSICを独自のアプローチで表現するSOUND CREW「KILLER TUNES BROADCAST」を主宰する。

—WACKO MARIAではラリー・クラークなど、アーティストとのコラボレーションによる写真集を4冊出されています。写真への興味のきっかけや、今回チェキを使ってみた感想など、お聞かせください。

普段は、スマートフォンで撮ることがほとんどで自分ではあまり撮らないのですが、写真に興味を持ち始めたのはサッカーを辞めた頃からで、ロバート・フランクのTHE AMERICANSや、アンリ・カルティエ=ブレッソン、リチャード・アヴェドンなどに興味を持ち始め、それからいろいろ見ていました。洋服を作る上でも、人を被写体とした作品からインスピレーションを受けることは多いです。気になった写真に出会ったら、プリントアウトして貼ったりもします。特にエグルストンの写真が好きなので、イメージボードとしてよく貼っています。チェキは家族や友人が持っているのを借りて撮ったりしたことはありますが、ほぼ今回が初めてです。気になった人やモノのメモとしても良いですが、遊び感覚で使ったり、他にも例えば誕生日プレゼントなどでチェキの写真に手書きの言葉が入ったものをあげたら、手作り感もあってとても喜ばれると思います。

—今回制作されたボックスセットもプレゼントとしても良さそうですが、テーマや狙いなど、あらためて教えてください。

WACKOMARIAのブランド自体もそうですが、東京を楽しもうとしている人にぜひ使ってほしいなと思います。昨日も自宅にこのボックスセットを置いてチェキのフィルムにぺンで書いていたんですが、自分でも楽しい気分になってきたんです。そういう楽しい雰囲気を表現しています。デザイン要素としてはWACKO MARIAのコレクションでも使用したテキスタイルをポーチに使っていたり、ここ数シーズン打ち出している「天国東京」をボックスやフィルムケース、お札(おふだ)をイメージした木のストラップまで全面に使用することでメッセージを強くしています。MINI90のBLACKの色目とのバランスを考えながら、細かいところでは、敢えて荒く残したデザインなども含めてトータルでWACKO MARIAらしい”東京の楽しさ”が伝われば良いですね。

—これから、チェキを持ってどのようなシーンでご使用されたいですか?

今回チェキをお借りして、プレスルームでスタッフと撮りあっているうちに楽しくなってイメージが湧いてきたのですが、やっぱりそういう楽しさ、遊びごころがチェキの良さだと思います。来月LAにアーティストとの打ち合わせで出張に行くのですが、その際にもぜひ持って行って使ってみたいですね。

Yoshio Kubo

フィラデルフィア・スクール・オブ・テキスタイル&サイエンスを卒業後、ニューヨークでロバート・デンスの元でアシスタント・デザイナーとして、オートクチュールの服作りを手掛ける。2004年に帰国し、自身のブランド「YOSHIO KUBO」をスタート。2007年に、レディースコレクション「muller of yoshiokubo」、2008年には新たなレーベル「undecorated MAN」を設立。

—普段は、どのようなカメラで写真を撮っていますか?

「子供が生まれた時にライカのM9を買ったのですが、普段はそれを使いつつ、メモとしてはスマートフォンのカメラで撮っています。チェキのようなものも好きで、古いインスタントカメラを集めていました。ニューヨークでアシスタントをやっていた頃は、それを使って良く撮っていましたし、ブランドを始めた頃も、フィルムが無くなるまではデジカメではなくインスタントカメラを使っていたと思います。チェキは今回がきっかけで使い始めたのですが、僕の使い方は少し変わっているんです。家族でよく旅に行くのですが、その出発前に必ず撮影をして、フィルムに行き先を書き込んでスーツケースに入れて、旅の間のお守りのように持っていくんです。僕は縁起をかつぐところがあって、どんなに急いでいても必ず撮って持っていきます。昔はそれをインスタントカメラで撮っていたのですが、今ではそれが何十枚もたまっています」

—スマートフォンのカメラから、インスタントカメラやライカまで、プライベートでも様々なカメラを使ってこられたということですが、その中でもチェキに対する思いはいかがでしょうか?

「瞬間がそのまま写ったものをフィルムですぐ見れるのは、やっぱり快感です。フィルムのサイズ感も好きですし、発色のスピードがとても早いのは嬉しいです。文字や絵をフィルムに描けるのも普通の写真とは違う楽しみ方ができて良いですね。インスタント写真にアートを描く有名なニューヨークのアーティストがいるのですが、こういう使い方もあるのかと思って、たまにそういうことをして遊んだりもしています。チェキの使い方として、とてもおしゃれだなと思った事が以前あったのですが、イタリアのダダというコンセプトショップのディレクターが、洋服を着せたモデルをチェキで撮って、それをその場で並べてバイイングをしていたんです。『なんでこれを使ってるの?』と聞いたら『すごく便利だし、小さいし、この大きさが良いのよ』ということを言っていました。やっぱり、そういったオンリーワン感が良いと思います。デジカメで連写して撮るのは歯止めが利かなくなるけれど、これだと一瞬、オンリーワンの写真になるから」

—制作されたボックスセットについても伺えますか?

「カーキのデザインモチーフはコレクションで使用していたものですが、ボックスセットのコンセプトとしては、ミリタリーのアーモボックスのようなものを作ったら面白いなと思い作りました。ちょうどボックスがトランクになっていて、中には鉄砲や手榴弾、鉄砲の薬莢が入っているようなイメージです。そういうキットが昔あったのを思い出したんですが、男の子の遊び心があって、こういうのは万人向けに喜んでもらえると思います」

Kazuma Detto

自分のスタイルを洋服、写真、映像、空間などに落とし込み、「D.TT.K」名義でクリエイティブ活動を行う。2013年より自身特有のネオスポーティーな美学を取り入れたアパレルブランド「D.TT.K」を立ち上げる。2015年にはTOKYO FASHION AWARDを受賞し、、2シーズンにわたりパリのショールームでコレクションを発表。

—チェキに対する思いを教えてください。

「小中学生の頃はBOX型のインスタントカメラを使ってよく遊んでいました。今回、久々にチェキを試しに何度か持ち歩いてみたのですが、少し集中し過ぎてなかなかシャッターが切れず、ましてや被写体の見え方まで慎重になってしまい、まだあまり撮れていないんです(笑)。そこでまず感じたのは、チェキは主に人や生き物を対象にしていると思います。被写体とのコミュニケーションの流れの中で、即効性を生かして日常を切り取る楽しさが良いですよね。僕はまだインスタントカメラにも親しんでいましたけど、もっと若い子たちにはこれが新感覚じゃないでしょうか?デジタルになり過ぎたところを今一度戻しているような。今は、フィルターや編集など、すぐ手元で行える楽しさはありますが、チェキではフィルターを差し込んではいけない、生であるべき特別な領域もあるかと思います」

—今回作られたボックスセットのコンセプトなどを教えてください。

「基本的には危険な旅をイメージしました。その旅を更に楽しむ、この特別な救急箱といった感じです。そして自分のブランドもそうですが、カルチャーや時代をミックスさせることは必須で、自分がインスタントカメラにたくさん触れていた90年代のパッケージ感と、その頃思い描いていた未来感、あとはリアルな今の雰囲気のミックスも意識しています。ポーチはボディも自分たちで作っているのですが、ストラップで肩にかけて、フィルムを2つくらいストック出来て、というように、自分が持ち歩くために欲しいものを詰め込んでいます。フィルムパックは取り扱いの注意書きを強調してデザインしているのですが、薬品のような、モノとしてのフィルムの生っぽさと、慎重に扱う緊張感を表現しました。全体を通して、いろんな感覚が詰め込まれた、アクセサリーセットのようなものに仕上がったかなと思います。」

—普段使っているカメラと比べて、チェキならではの使い方やこれからのチェキに期待する点などはありますか?

「普段はスマートフォンのカメラがメインです。いつもチェキを持ち歩いている友人がいるのですが、彼が『ちょっとこれ見てよ、あのとき行った』みたいにフィルムの束からトランプの様に見せてくれるんです。指の動きはスマホでフリックしている動作と似ているのですが、写真の見え方はもちろん、不思議な感覚ですごく良かったですね。チェキは、そういう撮った後の楽しみも魅力的です。フィルムがそのままステッカーになっていたら嬉しいなと思ったり、キラカードの様な当たりの演出など。とにかく、ライフスタイルとしてチェキをその場で楽しみ合える内容を、その時代感に合わせて突き詰める事によって、また新たな遊びと記録の形が生み出てきそうですよね」

Arashi Yanagawa

プロボクサーの経歴を持ち、引退後、ロンドンに渡り興味のあった洋服の道へ進む。2003年に自身のブランド「JOHN LAWRENCE SULLIVAN」を設立し、ブリティッシュスタイルのテーラードを軸としたメンズウエアを展開。2010年にはレディースラインを展開し、2011AWのパリ・メンズコレクションにてランウェイデビュー。

—パリコレクション開催中でのインタビューとなりましたが、チェキを持ってこられているのですね。お使いになられた感想をお聞かせください。

まず、手始めに自分のポートレートを撮ってみたのですが、アングルも凝った写真が撮れて気にいっています。今回のパリコレクションでも、チェキをかばんに入れて、フィルムも買い足して持ってきました。仲間と食事をしているときや、お酒を飲んでいるときなどに仲間を撮ってみたのですが、その場で写真を共有できるので、そういったライブ感が新鮮でした。今もカバンに入れているので、持っているとつい撮ってしまうんです。これまで、スマートフォンくらいでしかあまり写真は撮っていなかったのですが、最近、しっかり写真を撮ってみたくなって、友人に教えてもらって古いフィルムカメラを買ったんです。フィルムは有限ですし、現像するまで写真が見れないので、まだ試行錯誤でやっていますが、設定の仕方や構図を考えたりと、注意深く意識的に撮りますよね。「意識的に写真を撮る」という点ではチェキも同じですが、フィルムカメラは自分で撮ったものを自分で楽しむ、パーソナルなものだと思うんです。今回、チェキを実際に使ってみて、チェキは撮った写真をみんなで共有して楽しむのが良いと感じました。

—今回のオリジナルBOXのコンセプトを教えてください。

やはり、トータルのコンセプトはJOHN LAWRENCE SULLIVANらしさを考えて作りました。紙、メタル、クッション材のテクスチャーのコントラストと、鏡面シルバー、マットグレー、2色のマーブルのカラーコントラストで、パッケージを開けた時に建築的に見えるよう意識してデザインしています。鏡面シルバーのカメラポーチは、インパクトのある仕上がりになったと思います。

あらためて、チェキならではの良さはどのような点だと思いますか?

チェキを使い始めてから、友達とあったり、一緒にご飯を食べたり、ホームパーティーだったり、日常の仲間が集まる場所で写真を撮ることが増えました。チェキで撮って、フィルムに写真が見えてくるまでをみんなでわくわくしながら待っている時間も、出て来たフィルムをその場でみんなで見て、「良く写っているね」とか「面白いね」とか、そうやって写真を中心に話が自然とはずむので、とても盛り上がるんですよね。スマートフォンのような手軽さもありながら、その場でモノとしての写真が共有できるチェキは、やはりコミュニケーション・ツールとして際立っていて、それが一番の良さだと思います。