INSTAX<チェキ>ロゴ

チェキで振り返る日本の名所めぐり。フォトグラファー鈴木文彦の、風景を記録する撮り方アイデア

2020年の秋から冬にかけて、僕は日本の郷土料理を紹介するというプロジェクトにスチールとして参加し、西日本を中心にたくさんの地域を巡る機会をいただきました。郷土料理を育んだ風土も紹介する必要があったため、観光名所も各県で巡ることに。ふだんは名所で撮影する機会は少なく、とてもワクワクしつつも、弾丸スケジュール&デジカメでしっかりと撮影するというミッションもあります。

そこで、この出張には大好きな「スクエアチェキ」を「思い出残し用カメラ」として持って行くことにしました。残念ながら途中でフィルムが尽き、また購入する時間的余裕もなかったため、今回で紹介する3県分くらいしかチェキ写真は残っていませんが、それでも、「ああ、チェキを持って行ってよかった」と思う場面は多かったです。愛媛県、奈良県、香川県で撮影したチェキ写真をご紹介していきます。

※撮影は2020年11、12月に行いました。

PROFILE

鈴木文彦(すずき ふみひこ)

チェキで振り返る日本の名所めぐり。フォトグラファー鈴木文彦の、風景を記録する撮り方アイデア 958EBC95-6FA4-445B-BB3A-4CC89E21D29F

フィルム写真専門誌『snap!』を創刊したのち、『フィルムカメラの教科書』『中判カメラの教科書』
『チェキit!』『オールドレンズの新しい教科書』など、趣味の写真にまつわるムックや書籍を企画/編集/執筆/撮影。現在、『レンズの時間』『FILM CAMERA LIFE』を定期的に刊行中。

愛媛篇:旅先での出会いも瞬間撮影

四国での撮影は多いのですが愛媛県はほぼ未踏で、個人的にとても楽しみにしていました。今回は松山城、道後温泉、遊子水荷浦、下灘駅、宇和米など、かなり多くのスポットを回ることができ、最高の撮影でした。また出張ウィークの序盤でチェキの残り枚数が潤沢だったため、チェキ撮影がたっぷりおこなえた点も大満足。

まず驚いたのは、松山駅から有名な道後温泉までが近いこと。県庁所在地=温泉、これは素晴らしいと思います。そして、柑橘類で有名ということで、路面電車などまでオレンジ色だったり、名もなき場所がフォトジェニックだったり。移動中に次々と美しい場所に出くわし、ずっと「愛媛すごい」と言っていた記憶があります。

チェキで振り返る日本の名所めぐり。フォトグラファー鈴木文彦の、風景を記録する撮り方アイデア 0326-_-huihikosan_01

松山と言えば『坊っちゃん』を外すわけにはいきません。夏目漱石が明治28年に松山中学校に英語教師として赴任し、その経験を基にして『坊っちゃん』を書いたと言われています。道後温泉や松山城付近には、『坊っちゃん』の名を冠した名所がたくさんあります。「坊っちゃんカラクリ時計」「坊っちゃん列車」「坊っちゃんとマドンナ像」などなど。思い切り記念写真ですが、それはそれで大切なもの。撮影時間は夕暮れ前後でかなり暗かったですが、スクエアチェキはがんばって記録してくれました!

チェキで振り返る日本の名所めぐり。フォトグラファー鈴木文彦の、風景を記録する撮り方アイデア 0315_humihikosan_cheki68-320x372

段畑へ向かう最中に出会った漁師さん。やはり人物撮影でチェキは威力を発揮します。声を掛けるのは勇気が必要ですが、チェキでその場でプリントを見せれば、会話も弾むはず。ぜひ旅先での人物撮影にはチャレンジしていただきたいです。失敗はしたくなかったので、光がよくあたる向きに立っていただきました。逆光は大敵。これがチェキの鉄則です。

チェキで振り返る日本の名所めぐり。フォトグラファー鈴木文彦の、風景を記録する撮り方アイデア 0315_humihikosan_cheki47-320x376

伊予市にある、海が目の前にあることで人気のフォトスポット「下灘駅」です。コスモスが乱れ咲いており、目の前は真っ青な海。多くの方が撮影に訪れていました。鮮やかな色の再現はチェキフィルムの得意分野です。

チェキで振り返る日本の名所めぐり。フォトグラファー鈴木文彦の、風景を記録する撮り方アイデア 0315_humihikosan_cheki49-320x376

愛媛県のマイベストはこちら。漁師さんに見せてもらったウナギです。ウナギが浮いているかのようで気に入っています。ベストは魚か、という感じですが、そこで漁師さんと話したことなども込みでの思い出。写真はそういう自分の気持ちとリンクするものだったりしますよね。以上が愛媛編でした。

奈良篇:「遠景モード」で風景もバッチリ撮影

続いては奈良県です。僕にとっての奈良県は、大仏や鹿というよりは、古代日本の首都だった明日香村の里山の風景です。修学旅行で訪れたとき、子供ながらに明日香村の風景は胸に染み入り、いつかまた行ってみたいと思い続けていました。今回、その念願が叶ったものの、雨模様で滞在時間は1時間もないくらい。しかし終盤には青空も顔を出し、少ない枚数ながら明日香村をチェキで残すことができてうれしかったです。もちろん奈良公園にも行きましたが、なんとそこにチェキを持ち込むのを忘れるといううっかりミス。撮影を終えて車に戻ったところ、駐車場そばの住宅街に鹿が運良く来てくれたのをかろうじて撮影できました。

チェキで振り返る日本の名所めぐり。フォトグラファー鈴木文彦の、風景を記録する撮り方アイデア 0326-_-huihikosan_02

明日香村周辺は日本の原風景が残る歴史的な区域です。寺社仏閣というより、古墳と里山というさらに古い原風景。このように風景をチェキで撮る場合は、「遠景モード」に設定してシャープに撮れるようにするのがいいでしょう。この撮影では遠景モード搭載のスクエアチェキを使っています。

チェキで振り返る日本の名所めぐり。フォトグラファー鈴木文彦の、風景を記録する撮り方アイデア 0315_humihikosan_cheki63-320x376

明日香村の柿畑の中を走る道にカーブミラーがありました。ミラーを見つけたら集合写真のチャンス。同行スタッフを集めてミラーに映り込むように立ち、記念撮影をしました。セルフタイマーを設定するほうが構図的にはもちろん良くなりますが、ミラー記念撮影は手軽でオススメです。

チェキで振り返る日本の名所めぐり。フォトグラファー鈴木文彦の、風景を記録する撮り方アイデア 0315_humihikosan_cheki64-320x376

苔に覆い尽くされた塀を見つけました。ちょうど良い具合に暗めに写り、しっとりとした雰囲気で残せたと思います。こういう1枚が撮れると、チェキのフィルムは性能がいいなと改めて実感します。静物×チェキは意外とハマるかもしれません。

チェキで振り返る日本の名所めぐり。フォトグラファー鈴木文彦の、風景を記録する撮り方アイデア 0315_humihikosan_cheki67-320x376

奈良公園を散々撮影した後、駐車場付近で撮影をした住宅街を闊歩する鹿。かなり暗く、そのせいで起きたブレが妙なスピード感を醸し出してくれています。ということで、この1枚が奈良のマイベストです。奈良は京都寄りの地域だけでなく、時間を取って南下するのも楽しそうです。僕は桜井市にある大神神社、その近辺で食べられる三輪そうめんにロックオンしています!

香川篇:露出補正を切り替えて鮮やかな景色をそのまま切り取る

最後は香川県です。香川県と言えばうどん!小豆島!もちろんそうなのですが、今回の撮影ではメジャーすぎるということで却下となりまして、讃岐富士、高松港周辺などを撮影してきました。ただし、宿泊は「金比羅さん」で知られる琴平だったため、レトロな雰囲気の街並みをチェキで撮ることができ、とてもありがたかったです。

チェキで振り返る日本の名所めぐり。フォトグラファー鈴木文彦の、風景を記録する撮り方アイデア 0315_humihikosan_cheki01

チェキで振り返る日本の名所めぐり。フォトグラファー鈴木文彦の、風景を記録する撮り方アイデア 0315_humihikosan_cheki58-320x376

讃岐富士は、丸亀市と坂出市にまたがる飯野山の別称。香川県のシンボル的な山です。これをいかにして撮るかは苦労しました。かなりの時間、車でうろうろとしていたら、せき止められている川を発見し、そこから障害物なしに撮ることができました。そして、川をせき止めているのがゴムチューブのようなもので、それを揺すってみたところ水面に美しい波紋が!1枚に気合いを入れるのって楽しいです。チェキで何か目的の被写体があるときは、アングルなどにこだわって撮影してみてはいかがでしょう。

チェキで振り返る日本の名所めぐり。フォトグラファー鈴木文彦の、風景を記録する撮り方アイデア 0315_humihikosan_cheki59-320x367

香川県のマイベストはうどん屋さんの店内にあった大漁旗。鮮やかでカッコイイです。ちょっと目に付いたものもチェキで撮るだけでスマホ画像とは別種に思い出になりますよね。香川県は仕事で足を運ぶことが多く、他にも映画『サマータイムマシンブルース』のロケ地となった善通寺周辺、香川県のウユニ塩湖こと父母ヶ浜など、チェキを持って散策したい場所がポンポンと浮かびます。

いまはなかなか遠出ができない生活となっています。僕は仕事で移動する機会があり、まだ恵まれているほうだと思いますが、旅をもっと普通に楽しめる日が帰ってくるのが待ち遠しくて仕方ありません。そして、昔よりもっと思い出を残すことに貪欲になっている気がして、そのアイテムとしてプリントという物として残るチェキを、もっともっと使っていこうと考えています。みなさんも、再び旅に出るときは、ぜひチェキをお供にしてみてください。

→その他【instax SQUARE シリーズ】記事を読む!

この記事のキーワード


    SHARE