臼田あさ美写真集『みつあみ』特別企画 連続チェキインタビュー 第4回：臼田あさ美

『みつあみ』の写真はごはんのようなもの

――さて、そんなふうに3人の写真家との間で手紙のように撮られたチェキも含め、『みつあみ』収録写真、また未収録の写真も織り交ぜた写真展を開催することになりました。

はい、ようやくみなさんにお知らせできます。

――もともと、写真集の企画になる前から「展示はやりたいね」という話はあったんですよね。

写真集って、大変じゃないですか。一冊にいろいろな人が関わってくるし、売らなきゃいけないし。でも、展示は幻だから。それはどこかでやりたかったんです。結果的にこの写真をただ幻に終わらせたくなくなってきて、手元に置けるものにしたいと思ったから本にはしましたけど。

――展示では音楽も流すわけですが。

そうですね。あんまり写真の世界に寄り添いすぎることなく、それでいて見る人の心に写真とともにすっと入っていくものになるといいと思って……選曲を自分でやるか、誰かにお願いするか、まだ決めかねているんですけど。

――臼田さんにとって、写真と音楽はやはり大切なものですよね。両者の相性のよさって、どういうところから来るんでしょう。

それは、やっぱり「メモリー」ですね。って、何でいきなり英語なのかわからないですけど（笑）。写真も音楽も、撮られた瞬間、聴いた瞬間にワープさせてますよね。生きてると決していいことばかりじゃなくて、嫌いになったり聴けなくなっちゃう音楽もあると思うんですけど、そういうふうに人の記憶の中で、その人の人生とともに育っていくものという意味では、写真も音楽も共通していますね。見た目の派手さや一瞬の気持ちよさを求める音楽もそれはそれでいいと思うんですが、それは長くは続かないですよね。『みつあみ』の写真や、これから作る会場の音楽は、なんとなく「ごはん」という感じになるといいなと思います。日々とともに、変わったりもしながら続いていくものというか。

――展示では、企画のために撮影されたチェキのフィルムを1枚1枚表紙にあしらった、それぞれ世界で1冊の「特装版」を120部限定でオーダーできるようになっています。さっき話していた“ムッツリな1枚”が、その関係性を超えて他の人のもとに届くわけですね。

そうですね。買ってくれる方が私たちの関係性の中に入ってきてくれるというか、お客さんが友達になるみたいでうれしいです。持ってみるとけっこうずっしり重いと思いますけど、それは“愛の重さ”なので（笑）。渡すほうと受け取る人、2人分の愛の重さです。よく言ってるんですけど、『みつあみ』の通常版のほうは、いつもカバンに入れてボロボロになるまで持ち歩いてほしいんです。でも、この特装版のほうはなんとなく「嫁に出す」感覚というか、「あなたに託したんだから責任もって、大事にしてよね」という気持ち（笑）。

――愛情をこめて育てましたからね。

いろんな愛情が、今回の展示にはつまっていると思います。展示に行くというのは本を買うより簡単ではないぶん、来る人にとっても特別な体験、特別な場所になると思うんですよね。ぜひ、デートで来てほしいな（笑）。

――キラキラしたデートのお手伝いができるといいですね（笑）。

はい。私も期間中はふらふらしてるかもしれないので、会場で会えたらお会いしましょう！

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今回使用したチェキ

“チェキワイド” instax WIDE 300

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interview by Takafumi Ando
main photo by Kotori Kawashima